口を開けた際に顎がカクッとなる、痛みがあるという方は「顎関節症」の可能性があります。
顎関節症は放置してしまうと悪化することがあり、ひどい場合には口が開けられなくなるなど日常生活にも支障を来してしまうことがあります。
今回は顎関節症の治療にかかる費用や治療内容についてお話ししていきますので、ぜひ参考にしてください。
顎関節症とは

顎関節症は、顎関節やあごを動かしている筋肉(咀嚼筋)の痛み、顎関節の雑音、口が開けにくいなどの開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害をとりまとめた病名です。
顎関節症の代表的な症状としては以下の3つが挙げられます。
①顎関節・咀嚼筋痛
(顎や顎周りの筋肉の痛み)
②開口障害
(口が開かない)
③顎関節雑音
(顎を動かすと音がなる)
参考:日本顎関節症学会
顎関節症の治療方法と費用

顎関節症にはいくつかの治療方法がありますので、一般的なものをご紹介していきます。費用も合わせてご紹介しますが、一般的なものであり日本の顎関節治療は対症療法的なものですから、一般的なものにあまり期待はされないください。
スプリント治療
顎関節治療で最も用いられる治療方法です。
患者さま専用のスプリント(マウスピース)を装着することで歯ぎしりや食いしばりなどの口腔習癖から顎を守ったり、顎の左右のバランスを整えたりすることで顎への負担を軽減し、顎関節症の症状を改善させます。
よくナイトガードと呼ばれるマウスピースと混同されがちですが、ナイトガードは歯ぎしりなどから歯を守る役割があり、スプリントは顎を守る役割があります。
スプリント治療は保険適用のものもありますが、やはりあくまで対症療法ですし、制限があるので期待はされないようにしてください。
一時的な痛みをとるそういう程度にお考えください。
※当法人はスプリント治療は自由診療となっています。
費用:保険適応クリニック3割負担で3,000円〜8,000円
自由診療クリニック10万〜70万円
レーザー治療
対応している医院は少ないですが、顎関節症に対するレーザー治療をしているところもあります。
顎関節に専用のレーザーを照射することで、神経が和らぎ、痛みや開口障害などが緩和することがあります。ただし対症療法になりますので、効果は個人差があります。
レーザー治療は自費診療の範囲になります。
費用:3,000円〜10,000円ほど
噛み合わせの調整
噛み合わせが悪いことで起こっている顎関節症に対して噛み合わせを調整することで症状が軽減することがあります。
ご自身の歯を調整(削る)こともあれば、高さが合っていない被せ物(クラウンなど)を作り直すなどの補綴治療をすることがあります。
噛み合わせの治療は保険診療でもありますが顎関節症向きの本格的な治療はではないので、それほど効果を期待しないでください。揺れてる歯に負担がかからないようにするような調整です。噛み合わせ全体を整えるというのは、予防的な考え方でここには属しませんし、できる歯科医はほとんどいないのが実情です。
費用:数百円〜,3000円ほど(補綴治療の場合はもっとかかります)自費診療で、10万〜50万程度
内服治療
顎関節症の症状が強い方には、内服薬が処方されることがあります。
ロキソニンやボルタレンなどの鎮痛剤や、顎の筋の緊張を和らげる筋弛緩薬、ストレス因子がある場合は抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあります。
内服治療は保険診療の適応になります。
費用:数百円〜1,500円ほど
理学療法
理学療法とは、関節や筋の運動機能や能力の回復、鎮静を目的に行われる治療法で、整形外科とリハビリテーション医学に共通しています。
顎関節症に対しても理学療法が適応になり、以下のような方法があります。
①物理療法
顎関節付近の筋に直接刺激を加えることで症状を軽減させる目的があります
(熱伝達療法、電気刺激法、マッサージ療法)
②運動療法
顎関節や筋を動かし、可動域を広げたり、筋を和らげる目的があります
(下顎可動化療法、関節と筋のエクササイズ)
③行動医学療法
顎関節症を悪化させる要因に、日中のくいしばりや姿勢の悪さなどの悪習癖が挙げられ、これらを改善するための方法です。患者に悪習癖を認知さえ、正常な状態にしたり、悪い癖を回避するためにトレーニングをおこなう認知行動療法などが挙げられます
参考:国立大学法人信州大学
顎関節症で費用の高い治療法とは?

顎関節症を改善する場合、歯列不正が大きく関与して最も治療費用がかかる治療方法は「歯科矯正」です。不正咬合が原因で顎関節症を引き起こしていると考えられる場合は歯科矯正を提案されることがあります。
しかし、歯列矯正を行なったために顎関節症の症状が出始めたという方も多く私どものクリニックで相談を受けます。つまり
歯列矯正をする→ →顎関節症が治るということではないことをよく知っておいてください。
正しくは、
顎関節にフィットした噛み合わせにするために矯正して、顎関節の負担を最小限にし、治癒を期待するとういことです。この「顎関節にフィットさせる」ためには歯科医のスキルが必要です。
歯科矯正で全額治療をする場合は近年は100万円以上が一般的です。
ただし、月々の院内分割やデンタルローンなどに対応している歯科医院も多くあり、負担のない返済ができるようになっていますので、歯科医院と相談して見てください。
まとめ
今回は顎関節症にかかる費用や治療内容についてお話ししました。顎関節症で最も選択される治療法にはマウスピースを使った「スプリント治療」がありますが、保険適応の場合は3,000円〜8,000円ほどで症状の期待をすることが一般的です。あくまで対症療法ですので、本格的な治療はしっかりとした検査を受けてください。
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他にもレーザー治療や理学療法など、様々な治療内容がありますので歯科医師と相談しながらご自身にあった治療を受けましょう。
治療にかかる費用など不安なことがあればかかりつけ医にご相談されてください。
顎関節症でお悩みの方は、放置せずに早めに歯科医院を受診しましょう。
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