食事中に物を噛んだとき、大きくあくびをしたとき、耳の近くで「カクッ」「パキッ」と音がした経験はありませんか?もしくは痛みがあったかもしれません。
実は、このアゴの音、非常に多くの方が経験している症状です。ずっと鳴ってる人はなれてしまいますがそれは正常ではありませんのでご注意下さい。たまに鳴る人は、頻度が少なければたまたまということでしょう。

ただ大きな音や頻度が多いと「もしかして、顎関節症かな? 噛み合わせがすごく悪いのかな?」 「将来、アゴが動かなくなる大きな病気になるんじゃないかな?」
と、不安を感じる方も少なくありません。特に、以前はなかった音が急に出るようになったり、毎回音がするようになる場合は、心配になるのも当然です。
でも、安心してください。アゴの音がすべて、すぐに治療が必要な異常とは限りませんし、十分治療は可能です。
この記事では、「アゴから音がする」というお悩みについて、一般の方にも分かりやすく、医学的な原因から自分でできるケア、そして注意すべきサインまで詳しく解説します。まずは、あなたの今の状態がどれに当てはまるか、一緒に見ていきましょう。
噛み合わせの音はどこから発生しているのか

噛み合わせの際に聞こえる気になる音の多くは、歯の軋むような音もしくは、歯そのものではなく「顎関節(がくかんせつ)」から発生しているものです。
新しい歯を入れた後に音がするようになったり、もしくはある日、歯に何かあって噛み合わせが変わって音がするようになったかもしれません。
歯の音で異常を感じることはあまりないと思いますが、顎関節の場合は、耳の少し前に位置しており、気になる人はとても気になると思います。ここは下あごの骨と頭の骨をつなぐ重要な関節です。
この関節は、私たちが食事をする、話す、笑うといった日常動作のたびに使われています。一日に何千回も動く関節であるため、わずかなズレや負担が蓄積しやすいという特徴があります。
顎関節の内部には「関節円板(ディスク)」という軟らかい組織があり、骨と骨の間でクッションの役割を果たしています。この円板がスムーズに動くことで、顎は静かに開閉することができます。
ところが、関節円板の動きが一時的に乱れたり、筋肉のバランスが崩れたりすると、その動きが音として外に伝わることがあります。これが「噛み合わせで音がする」主な仕組みです。
海外の医学研究からわかっている顎関節の音の特徴

海外では、顎関節から発生する音について、専用の機器を用いて詳しく分析する研究が行われています。これらの研究では、顎の音は偶然に起こるものではなく、関節内部の運動状態を反映していることが示されています。
特に多く報告されているのが、関節円板が本来の位置から一時的にずれ、顎を動かした際に元の位置へ戻る瞬間に生じる「クリック音」です。
この音は稀に出る場合と、習慣的に出る場合があり、稀に出る場合はさほど気にするほどのものではありません。比較的軽い症状として扱われることもあります。
ただ習慣的に起こる場合は、それよりもさらに大きくならないように我々は治療をお勧めしますが、
咬合の治療が専門でない場合には、多くのクリック音があっても痛みや口の開閉障害が伴わない場合、積極的な治療を行わず、経過観察とするケースが多いことも報告されています。
音は顎関節の状態を知る一つの手がかりであり、必ずしも異常を意味するわけではないと考えられていますが、頻度が多くあれば当医院では治療をお勧めします。
噛み合わせが高い歯が入った感じがしたが、歯科医師から慣れるといわれたことがあったらその歯が原因かもしれません。
噛み合わせのズレと音の関係

「噛み合わせが悪いから音がするのでは」と考える方は少なくありません。確かに、噛み合わせのバランスが崩れると、顎関節や周囲の筋肉に負担がかかりやすくなります。噛み合わせが多少ずれていても、問題なく生活している人は多く存在します。
そのため、「音がする=噛み合わせが原因」と決めつけるのではなく、顎関節全体の動きや筋肉の使い方、生活習慣などを総合的に考えることが重要です。
歯ぎしり・食いしばりと噛み合わせの音
日中の集中時や就寝中に無意識で行われる歯ぎしりや食いしばりは、顎関節に大きな負担をかける要因の一つです。
強い力が繰り返し顎に加わることで、関節や筋肉が疲労し、動きがスムーズでなくなることがあります。その結果、噛み合わせ時に音が出やすくなることもあります。
海外の医学論文でも、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある人の方が、顎の音や違和感を自覚しやすい傾向があることが報告されています。
音がしても心配が少ないと考えられるケース
噛み合わせで音がしていても、すべてが治療を必要とするわけではありません。以下のような場合は、大きな問題がないケースも多いとされています。
- 口の開閉がスムーズに行える
- 音が一時的で、月に数回程度
- 日常生活や食事に支障がない
このような場合、治療を行わず、生活習慣の見直しや経過観察が選択されることもありますが、噛み合わせのずれがありそうなら、口が開くうちに早めに処置をすることをお勧めします。
顎の音と共に注意が必要な症状

一方で、音と同時に痛みが出る場合や、口が開きにくくなる場合は注意が必要です。これらは顎関節や筋肉に負担が蓄積しているサインである可能性があります。
特に、音が徐々に大きくなってきた、左右で症状に差がある、顎が引っかかる感じが続くといった場合は、専門的な教育を受けた歯科医師による治療を受けましょう。(日本ではあまりいないのが実情ですが、応急処置はしてくれるでしょう。)
日常生活で意識できるセルフケアと治療法

噛み合わせの治療は様子見したい場合や、軽度の噛み合わせの音や違和感に対しては、日常生活の中で意識できる工夫が役立つ場合があります。
- 日中、歯を強く噛み締めていないか意識する
- 硬い食べ物を続けて噛みすぎない
- 長時間のスマートフォン使用時の姿勢に注意する
- 入浴時に顎周りを温め、筋肉をリラックスさせる
これらは体に負担をかけにくい方法であり、海外の研究でも保存的な対応として紹介されています。
ただ顎関節症の根本解決は9割以上が噛み合わせによるものですから、正確な治療を受けることをお勧めします。治療法としては、噛み合わせの正確な検査→中心位でスプリントマウスピースを作成→ 筋の緊張コントロール/顎関節安定→ 咬合治療へ。
まずは正確な噛み合わせ位置で作られたスプリントを装着し、顎へかかる力を軽減させて正しい顎関節の位置の快適さを実感してください。それはもう別世界のお口になります。
当院では毎日多くの方が噛み合わせ治療を受けておられますので、遠慮なくご相談にいらしてください。
まとめ
噛み合わせで音がする症状は、多くの人が経験する身近な現象です。海外の医学研究でも、音だけであれば必ずしも積極的な治療が必要ではないケースが多いことが示されています。
ただし、痛みや動かしにくさを伴う場合は、体からのサインとして専門家に相談することが大切です。
正しい知識を持つことで、不安を軽減し、安心して日常生活を送ることにつながります。
参考文献(海外論文)
- Manfredini D, et al.
Temporomandibular joint vibration before and after exercises and occlusal splints - Sadowsky C, et al.
Temporomandibular joint sounds related to orthodontic therapy
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、症状や診断、治療効果を保証するものではありません。
実際の診断や治療については、歯科医師による診察が必要です。
