透明で目立たないインビザラインは、多くの方に選ばれる矯正治療です。でも、「マウスピースだけで歯並びが完璧になる」と思っている方も多いのではないでしょうか?
実は、顎間ゴム(エラスティック)の存在が、理想の噛み合わせを作るうえでとても大切なのです。今回は、インビザラインと顎間ゴムの関係、そして治療を成功させるためのポイントをご紹介します。
顎間ゴムって何?どんな役割があるの?

顎間ゴムとは、上の歯と下の歯にかける小さなゴムで、アライナー(マウスピース)に付いているフックやアタッチメントに装着します。
この顎間ゴムの力で、上下の顎の位置を少しずつ正しい方向に誘導します。顎間ゴムは取り外しが可能で、治療中は患者様自身でつけたり、外したりをおこなっていただく必要があります。
アライナーだけでは歯を個々に動かすことは得意でも、上下の顎の位置を調整することは難しい場合があり、顎間ゴムを併用することで、前後のズレや噛み合わせの高さを整え、最終的に理想的な咬合に導くことができるのです。
参考:American Association of Orthodontists – Orthodontic Elastics
インビザラインだけではできないこと

マウスピース型矯正は、歯を少しずつ理想の位置に動かすのが得意ですが、以下の歯並びのような方には顎間ゴムが必要です
- 上の歯が前に出ている、あるいは下の歯が出ている(出っ歯・受け口)
- 左右で噛み合わせがずれている(クロスバイト)
- 奥歯の噛み合わせが深い(ディープバイト)や、開いている(オープンバイト)
これらは歯の並びだけでなく、顎全体のバランスを整える必要があるため、顎間ゴムがなければ十分に治せません。つまり、インビザライン治療の精度を高めるためには、顎間ゴムは欠かせない存在なのです。
顎間ゴムをサボるとどうなるの?

顎間ゴムは、装着時間と継続することがとても重要です。多くのケースでは、1日20〜22時間の装着が推奨されます。食事や歯磨きのときだけ外し、それ以外は常に着けるのが理想です。
装着が不十分だと、歯の動きが計画通りに進まず、噛み合わせのズレが残ったまま治療期間が長引くことがあります。臨床研究でも、顎間ゴムの使用をきちんと守るかどうかが、治療結果に大きく影響することが示されています。
参考:Align Technology Clinical Information
顎間ゴムを使うとこんなメリットが!

- 噛み合わせの精度が高まる
上下の顎の位置を同時に調整できるので、ワイヤー矯正に匹敵する仕上がりが期待できます。 - 治療期間の短縮につながる
歯の移動がスムーズになり、治療全体の期間が短くなることもあります。 - 後戻りを防ぐ
治療中に噛み合わせを安定させることで、矯正後の歯並びの後戻りを防ぐ効果も期待できます。
顎間ゴムを使うことで理想の歯並びに近づけることができ、正しい噛み合わせへと導くことができます。
顎間ゴムの正しい使い方と注意点

- 指示通りの位置・本数で使用
勝手に本数を増やしたり、強いゴムを使うのはNGです。歯や顎に負担がかかることがあります。 - 清潔に保つ
毎日新しいゴムに交換することで、力が安定し、衛生面でも安心です。 - 痛みは最初だけ
初めて装着したときに軽い痛みを感じることがありますが、数日で慣れることがほとんどです。強い痛みや異常がある場合は、すぐにご相談ください。
詳しい装着方法や注意点は、英国矯正歯科学会の公式資料でも紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:British Orthodontic Society – Orthodontic Elastics Fact Sheet
顎間ゴムはインビザライン治療の「成功のカギ」
透明で快適なインビザライン治療ですが、顎間ゴムの装着をしっかり行うことが、理想の噛み合わせを作る最大のポイントです。
アライナーだけでは動かしきれない上下の顎の位置を、ゴムがしっかりサポートします。小さなゴム1本の違いで、歯並びや噛み合わせの仕上がりは大きく変わるのです。
インビザライン治療を成功させるために、ゴムの装着時間や交換を守り、正しい使い方を意識しましょう。顎間ゴムは、あなたの笑顔をより美しく安定させる大切なパートナーです。
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